
シンプルで、安心して使えるものを届けたい
日常に溶け込むガラスのうつわ
今回は、香川県にある工房「グラスタイム」を訪ね、ガラス作家の田井将博さんにお話を伺ってきました。

田井さんは、香川県高松市のご出身。
子どものころから「将来は何かを作るしごとをしたい」と考えていたそうで、高校はデザイン科に進学されました。
大学は倉敷芸術科学大学 工芸学科ガラスコースに進学。
当時は漠然と、「なんだか面白そうだと思った」ことを理由にガラス工芸を学ぶ道へと進まれたのだとか。
その後、仲間と進路を考えていたときに、田井さんが所属していたゼミの先生で、「倉敷ガラス」の生みの親でもある小谷眞三さんに、「お前たち二人で作家としてやってみたらどうだ」と言われたのをきっかけに、大学卒業後、岡山県清音村(現・総社市)で、同級生の石川昌浩さんと一緒にガラス工房を設立されました。
倉敷は、ものづくりが根付いた街。
そのおかげもあって、大学卒業後すぐに自分たちの工房を立ち上げた田井さんたちも、少しずつ展示に参加したり、作品を販売することができ、活動の場を広げていったそうです。
「清音村は倉敷にも近いですが、田舎だったので。朝起きたら家の前にダンボールいっぱいのトマトやらなんやらを置いてくれるあたたかいご近所さんもいたりして、なんとかやっていけました」(田井さん)
清音村で制作活動を始めて4年ほどたったころ、ちょうどお二人のご結婚のタイミングなども重なって、それぞれ独立することになります。
そして2003年、田井さんは工房「グラスタイム」を設立されました。
2010年には現在の場所に工房を移転し、田井さんと奥さま、そしてスタッフさんの3名で活動されています。


日常に溶け込むうつわをつくりたい
大学卒業後、ガラス作家として活動を始めてから20年以上経ちました。
その間に、田井さんの作風もだいぶ変化されたのだとか。

活動を始められたばかりのころの作品
でも、「日常使いできる」うつわであることは、ずっと変わりません。
これは、大学時代の恩師である小谷先生が、まさに「生活のための道具」として倉敷ガラスを制作されていたことの影響もあるのだとか。
自然と「自分も普段から使いやすいものをつくろう」という考えが田井さんの中に根付いていたそうです。


「普段使いのものなので、重さや厚み、サイズ感には気を遣いながらつくっています。安心して使ってもらえるようなものにできれば、と思っているんです」と、田井さん。
ソラミドでお取り扱いしている田井さんの作品も、どれも日常に溶け込んでくれるうつわばかりです。

こちらの一輪挿しは、氷をモチーフにしたもの。
つるつるしていたり、ごつごつしていたり、ざらざらしていたり……細かく表現された質感がとてもリアル。
「お部屋に置くだけで涼しさを感じられる」と好評です。
もともとはペン立てとして生まれたそうですが、お花を生けて使う人が結構いたそうで、
形を変えて現在の一輪挿しになりました。

こちらの浅漬鉢は、義理のお母さまの「二人暮らしにちょうどいい大きさで、素敵なデザインの浅漬鉢がほしい」という声から生まれたものなのだとか。

気泡が銀河のように渦巻くデザインが特徴的で、シンプルながらも田井さんの丁寧なこだわりが詰まっています。
現在の場所に工房ができて、10年ほど。
田井さんいわく、「ここ3、4年でやっと落ち着いてきたところ」とのこと。
最近は、同世代の作家さんと関わる機会も増えてきて、つながりが広がることに楽しみを感じているそうです。
「この先、ガラス以外の素材を扱う作家さんとも、何か一緒に面白いことをできたらいいなと考えているところです」(田井さん)
今後も、田井さんのこだわりが詰まった「日常に溶け込むうつわ」が、より多くの人の手に渡っていくことを楽しみにしています。
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