空と緑のくらし店(ソラミド)

和歌山県東牟婁郡

20代半ばで一念発起しゲストハウスをオープン

人と人がつながる場所をつくりたい

和歌山県古座川町。紀伊半島南部に位置する、林業がさかんな町です。

そんな古座川町には、2018年にオープンしたゲストハウス「Lacoma(ラコマ)」があります。

今回ソラミド編集部はLacomaを訪れ、オーナーの高柳沙月さんにお話を伺ってきました。

JR古座駅で下車し、バスに揺られること約40分。「滝の拝」停留所で下車してすぐ、階段を上がったところにLacomaがあります。

「本当に自分がやりたいこと」とは何か

大阪府ご出身で、和歌山大学を卒業後は新卒で生命保険の営業のお仕事をされていた高柳さん。

大学時代はスーツを着て都会で働くキャリアウーマンに憧れを抱いていたそう。

もともと人と話すことが好きだったのもあり、営業職として保険会社に入社することになりました。

入社後はやりがいを感じながらお仕事を頑張っていましたが、もちろん大変だと感じることもあったとのこと。

そんなときに心の支えになっていたのが、農家民泊や農業ボランティアに行くことだったのだとか。

「幼いころから、田舎への憧れというか……『自然に囲まれて暮らしたい』という思いを漠然と持っていたんです」と、高柳さん。

明確なきっかけがあったわけではなくとも、田舎暮らしをしたいという気持ちは確かに持ち続けていたといいます。

それでも、会社員としての生活を送っていた高柳さんは、ご自分が本当に田舎暮らしをするとは当時想像しておらず、お休みの日に少しずつ田舎暮らしを体験するスタイルが今後も続くのだろうと思っていたそうです。

しかしそんな矢先、飛び込み営業先で、高柳さんの人生を大きく変える出会いがありました。

その営業先の会社の社長さんは、社員さんの人生における“働き方”をとても考えていらっしゃる方だそうで、営業で訪れた高柳さんも「どうして今の仕事をしているのか」「何のために働いているのか」を尋ねられたのだとか。

その社長さんとの出会いをきっかけに、自分が本当にやりたいことは何なのかを考えるようになったそうです。

そこで「ずっと田舎暮らしをしたかった」という思いが湧き上がり、少しずつ行動に移すことになりました。

その社長さんにはその後いろいろな相談に乗ってもらうようになり、社長さんの知り合いが古座川町に住んでいたこともあって、この町を訪れることに。

若くして起業し古座川町で暮らす人の存在も刺激になって、そこからはスピーディーに移住の話が現実的になっていきました。

新卒入社後2年間勤めた会社を辞め、古座川町での暮らしがスタートしました。

人と人がつながる場所をつくりたい

古座川町に来て1年間は、農業のお手伝いをしてきた高柳さん。

それまでご自身が農家民泊やゲストハウスを利用した経験も影響し、「人と人をつなぐ場所をつくりたい」という思いを抱くようになったそう。それでゲストハウスの設立を決意しました。

その後は徳島県のゲストハウスで修行をしながら、ご自身がこれからどんな場所をつくりあげていくかイメージを固めていったそう。

そして2018年11月に、「Lacoma」をオープンしました。

Lacomaで大切にされているのは、「暮らしの体験」。

宿泊者は、高柳さんと一緒にご飯を作ったり、大自然の中をお散歩したり。

和歌山県の名勝・天然記念物に指定されている「滝の拝」がすぐそばに。

滝の拝の近くには山羊がいるカフェも。

古座川町の自然の中でのリアルな暮らしを体験することができます。

何気ない日常のようで、「違う生き方に触れられる」という非日常の体験。

“Lacoma”は、「ライフ」「コネクト」「マザー」の頭文字からとった名前。

「人生をつなぐ母親のような存在になれるように」という思いが込められているのです。

Lacomaのオープンから1年と数ヶ月。高柳さんは今も「人と人をつなぐ」場所づくりに強い思いを持っています。

この思いを軸に、今後はゲストハウス運営のほかにも、田舎暮らしについて発信したり、自然の中での生活に興味を持つ若い世代にとっての体験の場をもっとつくっていきたいと考えているそう。

「いつか、シェアハウスもつくりたいなと考えているんです。飛び込みで移住するのは勇気がいるし、なかなか定住するのが難しいという現実もあります。だから、まずはお試し期間というか、仕事を探しながらリアルな暮らしを体験できる場所をつくっていけたら。そういう場があれば心強いと感じてくれる人もいるだろうし、私自身の経験もいろいろと共有できるのではと思っています」(高柳さん)

自然豊かな地域でのリアルな暮らし体験の場を提供し、人と人とをつなぐ高柳さん。

ご自身が会社員時代の“出会い”をきっかけに大きな一歩を踏み出した経験を持つように、これから高柳さんがたくさんの人にとってのきっかけになっていくのかもしれません。

高柳さんの周りでつながる輪が、どんなふうに広がっていくのか楽しみです。