自然の甘さを存分に、シンプルに

おいしい焼きいもが、人と地球を優しくする

ほかほかで、あま〜い、どこか懐かしい味のする「焼きいも」。最近ではスーパーでも見かけることも多いですが、「いしや〜きいも　やーきたてー」というメロディを町で耳にすることはかなり少なくなりました。そんななか、焼きいもの移動販売で近ごろ人気を集めているお店があります。「おいもやさん moimoi」は、千葉県を拠点に関東で焼きいもの移動販売をするお店です。2017年から販売を始め、「ほくほく系」から「ねっとり系」までバリエーション豊かな焼きいもを楽しめるとみるみる人気を集めるようになりました。イベントなどにも出店されています。今回は、店主の桂川あい梨さんにお話を伺いました。

最初から「いも」しか思いつかなかった

桂川さんに、どうして「焼きいも」を販売しようと思ったのか聞いてみると

「いもがいいなと思ったんです」

と、即答。

以前からおいもが好きだったという桂川さん。お肉やお魚はあまり食べなかったそう。

食品添加物もできるだけ摂らずにいられたらそれが理想的だ、という思いが昔からあったのだとか。

そういった考えを自然と持ち続けていたからこそ、素材そのもののおいしさを引き出せる「焼きいも」がいいと、初めから考えていたそうです。

年齢・性別を問わずみんなに愛される味

普段は平日に週2回ほど、千葉県の柏駅近くで販売を行っています。

天然の石（那智黒石）を敷いたやきいも専用窯で、1時間半ほどかけてじっくりと焼き上げられたおいもたち。

おいもが持つ甘さが存分に引き出された味わいを求めて、毎日たくさんの人が桂川さんのもとを訪れます。

お客さんの層はとても幅広く、「赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで買いにきてくれます」とのこと。

「オフィスでつまむおやつ用としてだったり、病院へのお見舞い用だったり、あとは離乳食にしたいと言って買っていく人もいます。『この層が多い』っていうのが本当になくて、年代も性別もバラバラに、いろいろな人が来てくれるんです」

おいもそのものというシンプルな食べものだからこそ、アレルギーなどデリケートな身体を持つ人も安心して食べられます。このあたりも、多くの人に愛される理由なのですね。

持ち帰ってもおいしく食べられるので、「今日のおやつと、明日の朝ごはん用と…」なんて、まとめて買っていく常連さんもいるのだとか。

バリエーション豊かなおいもたち

おいもやさんmoimoiで販売されている焼きいもは、千葉県香取市産のさつまいも。

さつまいもの産地も数々巡ってきた結果、最終的に「千葉県のいもが一番」という結論に至りました。

千葉県は土がさつまいも栽培に適しているそうで、甘さが詰まったおいもが育ちやすいそうです。

焼きいもの本格シーズンを終えた時期には、桂川さんも苗を植える手伝いをされています。

また、moimoiさんの焼きいもの魅力のひとつが、なんといってもバリエーションの豊富さ。

扱っている品種もさまざまで、「ほくほく系」も「ねっとり系」も、好みのおいもが味わえます。

時期にもよりますが、「むらさき芋」や「オレンジ芋」のようなちょっとめずらしい焼きいもはたいへん人気がありますので、いつもご用意しています。

強い作物「さつまいも」が、地球を健康に

桂川さんが焼きいも販売に込める思いが、もうひとつ。

それは、地球環境への思いです。

「今は食べものにあふれていて、肉を食べることや、添加物の入った食品を選ぶことが主流になりました。でも、食肉を生成したり、食品を加工するにはかなりのエネルギーを必要とするので、将来を危ぶむ声も出はじめています。だからこそ、普段から焼きいものような自然な食品を選ぶ機会が増えれば、少しずつでも地球の環境をクリーンすることにつながるかもしれない。それにさつまいもは生命力が強く、それほど手をかけなくてもぐんぐん育ってくれるので、地球にも優しい作物なんですよ」