
ふるさとの山梨と移住者をつなぐ
山梨での暮らしについて考えたら、まずは話にきてみませんか
東京・有楽町にある「やまなし暮らし支援センター」は、山梨県への移住を考える人たちにとっての相談窓口です。住宅、生活、就職など、山梨での暮らしに関するさまざまな情報が提供されています。 そしてこの窓口には、それぞれの生活や考え、そして気持ちによりそい、移住生活の理想も現実も踏まえて親身に話を聞いてくれる相談員さんがいます。今回は、相談員として働く倉田貴根さんにお話を伺いました。 実際に倉田さんに相談に乗ってもらい、移住を決意するその先の、「その人にとってのベストな暮らし」を見つけた人も多いのだそうです。
「ふるさとへ恩返しをしたい」と思った
倉田さんは、山梨県甲斐市のご出身。
大学を出てから航空会社に勤め、結婚を機に退職。その後は主婦をしながらも、いくつかの会社で働いてきました。
そんななかで50歳を過ぎたころ、ふるさとの山梨県のために何か仕事をしなければと、ふと思ったのだとか。
「本当に、ふと思いました。とくに何かあったわけでもなく……歳をとったせいか、ふるさとが恋しくなったのかもしれません。収入とかももちろん大切だけれど、それよりも『何か返していかなくちゃ』っていう気持ちになったんです」
そうして「ふるさとへ恩返しがしたい」という思いが強くなったとき、タイミングよく、ここ「やまなし暮らし支援センター」で相談員を募集しているという話を聞いた倉田さん。
「どんな仕事かもよく知らないまま、とにかく飛び込んだ」といいます。

有楽町駅前にある東京交通会館。ここの8階に支援センターがあります。
「本当にほしい情報」を提供するために
相談員になってからは、どうすれば訪れる人たちの背中をピンポイントで押すことができるか、考える日々。
今はネットでいろいろな情報が手に入る時代だからこそ、訪れる人たちにとって「本当にほしい情報」とは何なのか、模索してきたといいます。
そこで、倉田さん自ら足を運んで山梨県内の情報を集めたり、地域の人に話しを聞いたり。倉田さんだからこそ得られるリアルな情報を提供してきました。

「相談員に求められることは何か、そしてそもそも移住とは何なのか……ゼロからさまざまなことを考えて、自分なりに相談のかたちを作ってきました。訪れてくださった人たちに、『ここに来て、話を聞いてもらってよかった』と思ってもらえるように。もちろん始めのうちは、“移住”がまだここまで広がっていなかったこともあって苦労することもありましたが、何もないところを開拓したり、作り上げていくことが好きなので、やりがいや楽しみも大きかったです」
「県外からの移住者の背中を押す」ことにフォーカスされることの多い相談員さん。結果として、県内の人たちに「こんなにも山梨県で暮らしたいと思っている人がいる」と、気づいてもらうことにもつながっているのだとか。
「県内で暮らす方たちには、よく『こんな何もないところに』と言われることもあるのですが、そんなに卑下する必要はないんですよ、と。県内外問わず、山梨の魅力に気づいていない人たちに、魅力を伝えるきっかけにもなれば、と思っています」
相談者一人ひとりと深く向き合うこと
倉田さんは、相談員のお仕事をしていて「来てくださった方たちの話を聞くのが、本当に楽しい」と話します。

移住に関する相談は、いわば人生に関わること。そのぶん責任もありますが、倉田さんのもとを訪れた人たちが、アドバイスをもとに自分にぴったりの移住先を見つけ、理想的な生活を送っている姿を見ると、たまらなくうれしいのだとか。
相談に来る人たちは、これから山梨でどんな生活を送りたいのか、自分自身でも気づいていないこともあるそうです。そこで、倉田さんが「カウンセラー」のような形で話を聞き、相手の気持ちを言葉にしていくうちに、本人も気づいていなかった考えがまとまることも少なくありません。
また、倉田さんは相談に来る一人ひとりにしっかりと向き合い、その人にとってのよりよい形での暮らしを考えることを大切にされています。
相手のことを深くまで考える姿勢が現れたエピソードとして、こんなお話も。
あるとき、まだ直接対面する前に、相談者さんとメールでやりとりをしていて、その内容や文面から「きっとこういう人なんだろうな」とイメージを膨らませていたという倉田さん。
後日、同じ移住者セミナーに参加することがわかり、当日会場でイメージした通りの人を見つけたそう。そして、「◯◯さんですよね?」と声をかけたところ、ドンピシャだったのだとか。
その相談者さんにはとてもびっくりされたと同時に、「そんなにも自分のことを考え、関心を持ってくれていたんだ」と喜ばれたそうです。
自分の人生を見直したら、徹底的に追求してみて
そして最後に、「今、移住を考えている人たち」に向けて、倉田さんにメッセージをお願いしてみました。
「移住を考えた人っていうのは、きっと自分の人生を見直した人なんです。一度きりの人生のなかで、どこで過ごせば自分が一番いきいきと、のびのびと過ごせるかというのを、考え始めたということ。それはとても良い気づきだと思いますよ。そのうえで、さらにもう一度、それが自分のためなのか、家族のためなのか、子どもたちのためなのか……そもそも、どうして自分の人生に疑問符を付けたのか、ぜひ追求してみてください。困ったときは、私のところにお話に来てくださいね。徹底的に、一緒に追求しますから(笑)」
倉田さんにご紹介いただいた方のソラミドインタビューはこちら