
もうひとつの陶芸の里、笠間
関東で陶芸の里というと、益子を思い浮かべる方が多いと思いますが、そのお隣の笠間市も陶芸の産地として名高い町です。
戦前までは日常の雑器としての需要が多かった事から、戦後、安いプラスチック製品に取って代わられ、壊滅的打撃を受けた笠間焼。
そこからの脱却は容易ではなかったようですが官民あげての試行錯誤の末、工芸としての笠間焼への転換を図ります。
そこに、旧来の伝統の枠を破り、自由な作風を求めた若い陶芸家たちが移り住むようになりました。
その気風は今も息づいており、様々な個性のそれらの器に通じるものは、総じて温かく、素朴な印象の、手工業の生きた普段使いのうつわ。
まさに、現代に必要とされている、海外の大量生産品でもないし、かといって高価で手が出ないというものでもない…そんな『暮らしのうつわ』に出会えます。
笠間をてくてく、お散歩
笠間の範囲は大きく分けて芸術の森公園付近と市内中心部ですが、今回ご紹介するのは市内中心部。
街の中心をなすのは、日本三大稲荷の一つともいわれている笠間稲荷。

そしてその門前通りとして、笠間名物そば稲荷やクルミ入りのお稲荷が美味しいきむらや、ふかしたてのお饅頭が美味しい中屋総本店など、数多くの店が昔ながらの風情で軒を連ねています。
お正月にはこちらの通りで陶器市が立ち、笠間焼がお値打ち価格で手に入ります。
こちらの陶器市は、芸術の森公園で行われる初窯市とは違い、それほど混み合うことなくのんびりした雰囲気なので、笠間稲荷に初詣の帰りに、おいなりさんを頬張りながら陶器市を冷やかす… こんな楽しみ方もできちゃいます。
そんな中でも街歩きの際に是非立ち寄っていただきたいのが、zakka LE MIDI(https://zakka-lemidi.wixsite.com/)と笠間日動美術館。
zakka LE MIDIはカフェ&雑貨屋&ギャラリーですが、今の気分にしっくりとくる若手の笠間焼のセレクトが素晴らしい。また、そこからすぐ近くのlittle cuとlittle box(http://littlecu.exblog.jp)、ともにご夫妻の営むアンティークショップで、ヴィンテージの椅子や照明、古道具などが所狭しと並んでいます。
お店の前を横切るだけで、素敵なものに出会える予感がいっぱい。
そして、日本を代表する画商、長谷川仁・林子夫妻の金婚式を記念して、長谷川家ゆかりの地である笠間に建てられたのが、笠間日動美術館(http://www.nichido-museum.or.jp/index.html)。
笠間稲荷から歩くこと15分ほどの、佐白山の裾に位置する緑溢れる美術館です。
こちらは夫妻と親交のあった画家たちのパレットを所蔵していることでも知られており、その数の多さは世界にも類を見ないコレクションと言われています。
美術館内にはカフェもあり、テラス席で美しい緑を眺めながら、美味しいコーヒーがいただけますよ。
かさましこのススメ
そんな魅力に溢れた街、笠間。
益子からは車で30分程度の距離、両市を結ぶ連絡バスも発着して便利です。
都内からは笠間と益子両方をつなぐ高速バスも出ており、ゴールデンウィークには陶器市で大変賑わう、。
笠間+益子=「かさましこ」、この二つの陶芸の里をつないだうつわ探しの旅は、都内からの週末旅行にもぴったり。
自分の気持ちにしっくりと合ううつわに出会うと、料理も楽しくなるし、大事に使うことが所作の美しさにもつながる。日々の暮らしがほんの少し、丁寧に磨かれていく感覚。
今週末はお気に入りの器に会いに、かさましこ、してみませんか?
ソラミドでは、笠間で陶芸を学んだ作家の、房mieさんの作品をお取り扱い中です。
どうぞこちらからご覧ください。
工房mieさんのページ:https://www.soratomidori.jp/creator/mie/
インタビューページ:https://www.soratomidori.jp/2449/