
自分だけの足袋づくり体験も!蔵の街、行田で過ごす、彩りの休日
江戸時代、忍藩の城下町として栄えた、埼玉県北部に位置する行田市。

忍城
古くは田山花袋の古典的名作『田舎教師』から、映画化もされた『のぼうの城』、最近では実際の足袋工場をモデルにした小説など、物語の舞台となってきたここ行田ですが、知るひとぞ知る、足袋の街という側面も持ち合わせています。
江戸時代初期から綿布の生産で有名なこの地でしたが、その後足袋づくりが伝えらたのち、長らく足袋生産量日本一を誇り、その生産量は年間8000万足を超えていました。
昭和初期までは市内に多くの足袋工場や蔵が立ち並び活況を呈していましたが、徐々に和装が廃れていった結果、街に多くあった足袋工場はほとんど姿を消し、現在の生産量も年間500万足までに落ち込んでしまったそうです。
しかし、海外の人々や和装文化を見直す若者、さらに足指への健康を期待する人々から再び足袋が受け入れられはじめ、伝統の技と新たな感性や技術が融合した新しい足袋に脚光が集まっています。
今回はそんな足袋の街、行田を旅しましょう。
まず訪れたいのが、池井戸潤氏の小説『陸王』で一躍有名になった、創業約百年の老舗、きねや足袋(http://kineyatabi.co.jp/kineya/)。
和装文化の先細りから経営難に陥った「こはぜ屋」が、起死回生を狙い新規事業にかけ、数々の苦難を乗り越えた末、画期的なランニング足袋シューズを開発し、成功を収めるという物語ですが、このこはぜ屋は、きねや足袋がモデルとなりました。
店内には見学スペースも用意されており、足袋の歴史や成り立ち、職人の作業風景などを見学することができます。
次に、かつての足袋工場を博物館として改装した、足袋とくらしの博物館(http://www.tabigura.net/tabihaku.html)へ。
昔の木造学校のような風情ある建物の中に広がるのは、様々な種類のミシンと大きな布用裁断機。こちらでは、持ち込みの布や用意された布を使い、職人さんの手を借りながら、自分だけの足袋づくりの体験ができるのです。
12、3もの工程を経て作られる足袋。一つ一つの工程が熟練した職人の手によって支えられています。
特に面白いのが、伝統のドイツ式八方ミシンを使い、ひだの間隔を微妙に変えながらつま先を縫う「つま縫い」の作業。

レトロなミシンを操りながら、手際よくふっくらとしたつま先に仕上げていく、職人の匠技の見せ所です。
そうして、ついに自分だけの足袋が完成!
最近は和装をたしなむ方以外にも、靴下の代わりに愛用される方も多いそうで、柄靴下の感覚でお気に入りを作ってみてはいかがでしょうか。
奥深い足袋の魅力を堪能した後は、てくてく歩いて翠玉堂(https://twitter.com/suigyokudo)で一息入れましょう。
しっとりと穏やかな空気漂う店内に、お店の雰囲気そのままに美しく焼きあがったパンたちがお行儀よく鎮座しています。
しかしそれとは対照的すぎるくらい対照的な、面白すぎる筆書きの説明文。
実はパンだけでなく、夏は自家製シロップでいただくかき氷が、また絶品なのです。ちょっと(だいぶ?)独特の変わり惣菜パンや変わりかき氷などもあり、店主の茶目っ気と飽くなき探究心はどこまでも尽きないよう。
毎年5月第三週の土日にはぎょうだ蔵めぐりまちあるきが開催され、日頃非公開のものも含めた行田の足袋蔵が多くの人で賑わう、足袋の街行田。古くて新しいその魅力に、あなたも触れてみませんか。