
アロマの世界をもっと身近に
植物が持つ、やさしく豊かな香りの数々を│Mc.Profumo・茅根麻耶さん
気軽に楽しめるアロマグッズや、香りにこだわったオーガニックコスメの販売、レッスンの開催等を行うMc.Profumo(エムシー プロフーモ)。合成香料は使わず植物由来の精油を使用し、ひとつひとつ丁寧にアイテムを作られています(コスメについては香りの調合や製品の開発までを行い、実際の製造は化粧品製造許可を得た工場におまかせしているとのこと)。植物の豊かな香りが幾重にも折り重なったような、やさしくも記憶に残る香りの数々が魅力です。今回は、代表の茅根さんにお話を伺い、ブランドや、香りの世界に込める思いを聞きました。
アロマの世界をもっと身近に
──どんな思いを込めて「Mc.Profumo」を立ち上げられましたか?
香りを楽しむ時間が増えればいいな、というのが一番大きな思いですね。
アロマの世界ってどうしても「おしゃれだね」とか、「女子力高いね」とか言われがちなのですが、決してそんなことはなくて。もっと日常で身近に楽しめるものなんです。
みかんやオレンジの皮を剥いたり、レモンを絞ったりすると、手に油分がつきますよね。あれも精油です。爽やかでおいしそうな香りが広がって、ちょっと気分が変わりませんか? そういう、身近な生きものの香りと、良い香りによって気持ちが変化する体験を楽しんでいただけたら、と思っています。

──茅根さんがアロマの世界に入られたのはどうしてだったのでしょうか。
もともと、高校生くらいから香りが好きで。当時は香水やハンドクリームの香りを「いい匂いだなあ」と楽しんでいました。
結婚してからヨーロッパへ海外旅行をしたときに、向こうでは薬剤師さんのような方が精油を調合してくれることを知ったんです。海外では、のどの調子が悪ければ、のどに良い成分の精油を……という感じで、アロマが漢方のような存在になっているんですよね。
かいでみると、植物本来の香りって本当に豊かで、やさしくて。それまで私は香水やハンドクリームの合成香料の香りも好きだと思っていたのですが、自然の香りを知ったら全然違うことに気付いたんです。それで惹き込まれて、15年ほど前に勉強を始めました。
──アロマを学ばれるようになってから、新たに気付いた魅力などはありましたか?
たとえば香りをかぐことで、集中力が高まったりだとか、リラックスできたりだとか。日本では風邪をひくと病院に行ったり、薬を飲んだりすると思いますが、海外の人はアロマを焚いて空気を変えることから始める人が多いみたいなんです。アロマでケアをしてみて、ダメだったら病院へ行こう、というスタンスなんですよね。
最初はとにかく“いい香り”だと思ってたのですが、身体に与える変化がいろいろあることを知って、知れば知るほど面白いなぁ、と感じています。

植物が持つ、豊かな香りの数々
──香り選びでのこだわりはありますか?
女性はホルモンの周期の影響もあって、いいなと思う香りが日によって変わったりします。だからこそ、私の場合は「これだ」と決まった香りばかり作るのではなく、色々な組み合わせを試していますね。「今日はこの香りが好きだな」と感じることによって、日々の身体の変化を把握するのにも役立てられるようなものにできればと思っています。年代によっても好む香りの傾向が変わってきたりして、面白いんですよ。
──ちなみに、茅根さんが個人的に好きだと感じる香りはあるんでしょうか?
それが、好きなものがありすぎて……聞かれるといつも迷っちゃいます(笑)。
私にとっては、精油や香りが人に見えたり、子どもに見えたりするんです。すごくのんびり屋さんで、ドロッパーからゆっくり落ちてくる子もいれば、さらさらっと落ちてくる人もいて。本当に、生きものみたいなんですよ。
それぞれ魅力的で、どれかひとつを選ぶのは難しいのですが……あえて言えば、サンダルウッドやローズウッドなどの樹木系が好きですね。

──フローラル系は“華やか”、柑橘系は“爽やか”などと連想できますが、樹木系はどんな香りと表現できますか?
落ち着いた香り、でしょうか。サンダルウッドは白檀とも言われるもので、お香にもよく使われます。精油の状態だと、お香よりもちょっと柔らかい香りなんです。木の表面の香りというよりも、ちょっと中の方の湿った香りというか。深呼吸したくなるような、心を落ち着かせてくれる香りです。
私はせっかちなので、常に呼吸が浅くなりがちで。「ちょっと急いでしまっているかも」と自覚したときは、樹木系の香りで深呼吸して、自分をコントロールしています。多分、精油って、自分が持っていないものを引き出してくれるものに魅力を感じるんです。だから私の場合は、落ち着く香りが必要なのかな、と思います。
──使う人たちにとって、茅根さんが選ぶ香りが、どんな存在になってくれたらうれしいですか?
記憶と香りってすごく結びつくところなので、使う人の人生のどこかで、私の香りと素敵な思い出が一緒になってくれたらうれしいですね。
あとは、化粧品会社さんの力をお借りしてスキンケア用品なども販売しているので、洗顔やスキンケアの時間が楽しみになるような存在になってくれたらと思いながら、香りを調合しています。

──最後に、今後の目標や展望があればお聞かせください。
私は北海道で生まれ育って、現在は札幌を拠点に活動しています。北海道の人って、自分たちの生まれ育った環境がどれだけ豊かか、気付いていない人が結構いると感じていて。私もそうでしたが、どうしても都会のものがよく見えてしまうんですよね。
だから、北海道の魅力を知ってもらうきっかけにもなりたいと思っています。私が成分を選んだコスメには、北海道産の白樺樹液や甘酒を使っているんです。白樺樹液も甘酒も保湿力が優れていて、本当にしっとりと心地良いんですよ。
これからも、できるだけたくさんの人に植物本来の香りを知って、気軽に楽しんでもらうきっかけを届けるとともに、香りやコスメを通じて、北海道の自然が持つ魅力も発信していけたらうれしいです。