
ステンドグラスをもっと身近に
大好きなガラスで、耳元からちいさな幸せを。│hamade stainedglass
ステンドグラス作品や、ステンドグラスに用いる板ガラスを使ったアクセサリーを制作するhamade stainedglass(ハメイド ステンドグラス)さん。気持ちが明るくなるような色使いと、ガラスそのものの美しさを活かした作品の数々が素敵です。今回ソラミドでは、作家の金森恵莉果さんにお話を伺いました。作品づくりに込める思いや、金森さんがガラスという素材に心ひかれる理由をお届けします。
ステンドグラスをもっと身近な存在に

小さいころからものづくりが好きだったという金森さん。
中学時代には芸術系の高校に進学したいと考え、体験授業に参加。その時に出会ったのが、ステンドグラスでした。
「もともと、キラキラとしたものが好きで、ガラス細工を集めたりもしていたんです。体験授業で初めてステンドグラスを作ってみて、ビビビッときたというか。ガラスそのものの透明感を思う存分楽しみながら、自分で作品をつくりあげられることに惹かれました。色とりどりのガラスを組み合わせるという点も、さまざまあるガラス工芸のなかで、ステンドグラスに惹かれた理由かもしれません」
その後は体験授業を受けた学校とは別の高校に進学されたそうですが、ステンドグラスへの思いは変わらず持ち続け、
「ステンドグラスをしたい、ガラスの勉強をしたい」と、奈良芸術短期大学に進学。ステンドグラスを専攻されました。
大学卒業後にはhamade stainedglassを立ち上げ、ご自身の作品を発表するように。
「ステンドグラスといえば教会にあるもの、ちょっと高級なもの、というイメージを抱く人が多い中で、もっと身近に、日ごろから身につけられるようなアイテムがあれば、という思いでアクセサリーをつくっています」

思い通りにいかないことが面白い
hamade stainedglassさんの作品の特徴のひとつが、数種類のガラスを高温で焼き付けるフュージングという技法を用いている点。
ステンドグラスは板ガラスを切って組み合わせることで作品にしますが、フュージングは一度ガラスを焼いて溶かします。
そのため、色の組み合わせや、窯の温度、焼き時間によって溶け具合が変わり、仕上がりの形も変化するのだとか。だからこそ“2つとして同じものがない”という特別感も、ひとしおです。
「自分で『こうしたい』と思っても、そうはならないんですよね。角を丸くしたい場合は5分長く焼く、角を残したい場合は5分短く焼く……といった感じで微調整をします。あとは、ガラスの素材自体も、色の違いによって成分が少しずつ違うので、硬さ・柔らかさに微妙に差があって。だから、色の組み合わせによって焼き時間・温度も変わってきます。こだわりの形に焼き上げるために、時間や温度などのさまざまな要素を検証し、試行錯誤しているんです」


でも金森さんは、そんなフュージングの難しさにこそ、楽しさを感じているようです。
「思い通りにいかないことが、逆にいえば魅力に感じるんですよね。イメージ通りの形に仕上げるためにも、今が腕の見せどころだぞ! と、燃えてきます(笑)。私は大学の授業でフュージングと出会ったのですが、そんな難しさと、ガラスという固い素材ながらどこかやわらかさを感じるフォルムに仕上がるところに、ぐっと心を掴まれました」
日常に自然と溶け込むアクセサリー
ソラミドでお取り扱い中のhamade stainedglassさんのアクセサリーは、どれもかわいらしい色づかいと美しい透明感、そしてなんとも愛らしいコロッとした形が素敵です。

「私のアクセサリーは何か特定のものをモチーフにしているというわけではなく、いつも感覚的に『このガラスの色をいちばんきれいに、かわいく見せることができるのはどんな形だろう?』と、あれこれイメージしながら形にしています。なので、“空と緑のお花のピアス”も、最初からお花をイメージして作ったわけではなく、できあがった形がお花っぽかったのでこの名前になりました。見る人、使う人によって、『これは◯◯に見える』と、捉え方が変わっても面白いなと思うんです」
「色とりどりのガラスを使って、相性の良い色の組み合わせを試行錯誤している瞬間が本当に楽しいです。カラフルな色使いになってくると、その分色同士がケンカしてごちゃごちゃとしてしまうこともあります。だからこそ、バランスよくお互いの色が調和した『これだ!』という組み合わせを見つけられると嬉しくなります」
そして、hamade stainedglassさんのアクセサリーは、どんなシーンにも身につけられることも魅力のひとつ。
「老若男女どんな方にも、どんな場面でも使っていただけると思います。ガラスという素材そのものの透明感が、存在感を絶妙なバランスにしてくれるのもあり、少しかしこまった場所でも、日常のシーンにも馴染むはずです」
ガラスという素材が、本当に大好き
金森さんは現在、奈良県にある工房で作品を制作されています。
「結婚してから中古のおうちを購入して、その一室を工房にしたんです。工房全体は木を基調とした造りになっていて、ナチュラルであたたかい雰囲気がお気に入り。小・中学生時代の同級生の子にリフォームをしてもらいました」


壁に設けられた木の棚には、作品の材料となる板ガラスがずらり。
「工房の中で、色とりどりのガラスに囲まれながら作業しています。私はガラスという素材そのものが大好きなので、材料のガラス板が並ぶ棚が目に入るだけでいつもワクワクするんです。この工房は、私にとってテーマパークみたいな場所。ガラスに囲まれて、眺めているだけで幸せです」
お話を聞いていると、本当にガラスという素材が大好き! という思いが、金森さんの声や表情の端々から伝わってきます。
最後に、「そんな大好きなガラスを使ったご自身のアクセサリーを、どんなふうに楽しんでほしいですか?」と聞いてみました。
「光が入ったときにキラキラときれいに輝く、ガラスならではの透明感をぜひ楽しんでもらえたらと思います。自分自身が着用しているときはなかなか見るのが難しいかもしれませんが、一緒にいる誰かに「きれいだなぁ」と思ってもらえていたら嬉しいです」

かわいらしい色使いと、ガラスの美しい透明感が、心を軽やかにしてくれるアクセサリーたち。
身につける人だけでなく、そばにいる人にも、その美しさからさりげなく癒やしを与えてくれる。なんだか、耳元からちいさな幸せが広がっていくようで、素敵ですね。
ガラスへの揺るぎない愛情と、理想の形を実現するために検証と試行錯誤を惜しまない姿勢。そして、心から作品づくりを楽しむ金森さんのキラキラとした情熱が注がれ生まれる、hamade stainedglassさんのアクセサリーたち。
毎日のファッションに取り入れて、あなたも耳元からちいさな幸せを広げていきませんか?