soramido 空と緑のくらし店

埼玉県狭山市

狭山茶の「宮野園」でお茶の魅力を再発見(お茶摘み編)

2018年の5月、埼玉県狭山市にある宮野園さんでお茶摘み体験をしてきました。

埼玉県西部に位置する狭山丘陵地域は、静岡茶、宇治茶と並んで日本三大茶のひとつとされる「狭山茶」の産地。お茶の生産地としては北に位置していて、寒い冬を乗り越えるからこそ深い味わいになるといわれています。

宮野園さんは、明治2年創業のお茶屋さんとして、長年地元でお茶を作り続けています。近年では、若い世代や子どもたちにもお茶の魅力を再発見してもらえるよう、さまざまな体験プログラムを提供したり、地域の小学校でお茶に関する授業を行ったりしているそうです。

自然のなかで、黙々と

こちらのお茶摘み体験では“茶娘衣装”を着ることができ、衣装を着てみたくて体験に訪れる人も少なくないのだとか。せっかくなので私も着せてもらいました。

衣装は想像以上に本格的で、手元や足元をしっかりカバーしてくれるなど実用的。これで心置きなくお茶摘みを楽しめます。準備が整ったところで、さっそくお茶摘みスタートです。

お茶摘みの基本は“一芯二葉”(いっしんによう)。先端にちょこんと伸びている新芽と、その下で広がる二枚の葉っぱを摘み取っていきます。

人差し指と親指を使って軽くつかみ、倒しながら優しく引っ張ることで「ぷちん」と摘み取れます。この感覚がなんともくせになる心地よさです。

宮野園の六代目で茶匠の宮野圭司さんいわく、「ぷちぷちの緩衝材をつぶすのがくせになるのと同じような感覚でハマってしまう人も多いんです」とのこと。確かにこれはいつまでも摘んでいたくなってしまいそう。

初めに摘み方のレクチャーを受けたら、あとは自由に摘ませてもらえます。5月のさわやかな陽射しのもと、鳥のさえずりが聴こえるなかで黙々と。こうやって自然のなかで集中する機会はなかなかありません。普段の忙しい生活をしばし忘れて茶摘みを満喫します。

今回摘ませてもらったのは「さやまみどり」という品種のお茶。宮野さんから「匂いをかいでみてください」と言われかいでみると、いわゆる“お茶の香り”だけではない、なんともフルーティーで甘みのある香りがしました。

この果物のような香りは「桃のよう」と例えられることもあるそうで、さやまみどりの特徴のひとつなのだとか。そして、ここまで鼻腔いっぱいにふんわりと優しく広がるような香りを楽しめるのは、摘みたての茶葉だからこそ。乾燥させたお茶っ葉とは一味ちがう生っぽい香りがとてもさわやかでした。

摘みたての茶葉で手作り茶

お茶を摘み終えたら、今度は手作り茶体験へ。摘んだばかりの茶葉を使って、自分の手でお茶にしていきます。

まずは、軽く水洗いした茶葉を電子レンジへ。

加熱を終えたら、手でもんでいきます。

加熱と手もみを何度か繰り返して水分が抜けたらお茶のできあがり。

味や茶葉の細かさに、その人の性格が表れるのだとか。そして何よりも「おいしいお茶になれ」という気持ちを込めることが大切だそうです。

さらに、摘みたての茶葉を揚げた天ぷらも味わわせてもらいました。新茶とお塩を合わせた“煎茶塩”をつけていただきます。

口に入れた瞬間に食欲をそそる香ばしい衣の味がして、ふんわりとした食感を楽しめます。そして、噛むごとにお茶の味を感じられるのです。初めに広がるのは新茶特有のフルーティーな甘み。さらに味わうと、ほどよい渋みが徐々に現れます。摘みたての茶葉でしか味わうことのできない、貴重な楽しみ方です。

お茶摘みはくせになる楽しさで、心をこめてお茶を作るのも素敵。天ぷらもおいしい……。盛りだくさんな体験をさせてもらいました。お茶摘み体験は5〜10月に予約を受け付けているとのこと。期間中、何度も参加したくなるような充実度です。

このあとはさらにお抹茶体験にも参加してきました。後編では、お抹茶体験の様子をお伝えしていきます。

 

文:笹沼杏佳