soramido 空と緑のくらし店

長野県佐久市

良質な“食”を通じて、よろこびが連鎖する

ひらめきのままに決意した長野への移住

都内に3店舗を構えるジュースバー・Trueberry創業者の西村直子さん。2017年4月から、ご家族4人で長野県佐久市に住んでいます。移住のきっかけになった運命的な出会い、現在の生活、食を通して感じるよろこびや、今後目指すことについて聞かせていただきました。

西村直子さんは、栄養たっぷりのジュースやスムージーを上手に摂り入れるライフスタイルを提案しています。2017東京の広尾から長野県佐久市に移住。ご主人と、ふたりのお子さんとともに4人で暮らしています。

 

運命的な出会いに導かれて

食材を仕入れるため、もともと全国の有機農家を訪れていた西村さん。

あるとき、長野県の有機農家が集まる会に参加したことがきっかけで、長野市大岡で『農楽里(のらり)ファーム』を運営されている遠藤さんに出会いました。

野菜や米の有機栽培をはじめ、農業体験などのプログラムも提供している農楽里ファーム。そこにあるカフェでテラス席に座った瞬間、”移住”という考えが一気に膨れ上がったのだそうです。

「アリゾナ州・セドナの絶景にも負けないくらいのパワースポットで時間を過ごしたとき、『長野に引っ越すのはどうだろう』と、ひらめいちゃったんです」

同時に、東京で暮らすことへの疑問も頭のなかを駆け巡ったとのこと。

「子どもが喘息ぎみだったことなどもあり、なんとなく『このまま東京に住んでいていいのかな』という想いは持っていたのですが、具体的な計画を立てているわけではありませんでした。でも、このとき『移住するなら今だ』という考えが一気に降りてきたんです」

 

移住を後押しした奇跡

東京へ戻って、長野へ引っ越したいと思っていることをご主人に相談したところ、
「いいね、それ!」
と、あっさり。

西村さんが長野を訪れているあいだに、ご主人は、参加していた自己啓発セミナーを通して、東京以外の場所で暮らすことに可能性を見出していたのだとか。

あまりにもぴったりのタイミングに、西村さんは
「奇跡が起きた瞬間でした」
と話します。

その後の展開は、非常にスピーディー。農楽里ファーム・遠藤さんの紹介で工務店もすぐに決まり、土地選びもスムーズに進みました。移住を決意してから、たった1年足らずで佐久市での暮らしをスタートさせることに。

子どもがのびのびと過ごせることの大切さ

長野県のなかでも佐久市を選んだのは、まず、佐久平駅から東京までの交通の便が比較的良いこと。そして大きな決め手になったのは、近くにある望月小学校に惹かれたことでした。

「佐久平駅周辺で土地を探していたとき、高台にあるすごくきれいな学校を見て、ここに子どもを通わせたいって思ったんです」

お子さんは、引っ越してすぐに佐久市での暮らしに慣れてくれたそうです。

「広尾に住んでいたころは、都会のど真ん中ということもあり、なかなか子どもを一人で外に出せませんでした。でも、今は学校から帰ってきてすぐにカエルを探しに行ったりしています。当たり前のことなんでしょうけど、やっぱり幸せですよね」

都会では、心配するべきことが多いぶん、子どもに対して「あれもだめ、これもだめ」と言ってしまいがち。いろいろなことに気を張る必要があったことが、今思えば小さなストレスの積み重ねになっていたのでした。こちらでは、ご家族でのびのびと毎日を送れています。

 

旬の食材をシンプルに

ピラティスのインストラクターとしても活動されていた時期があった西村さんは、”健康的に痩せたい”という生徒さんたちのニーズに応えるうち、ご自身もローフードのおいしさや美しさに惹きこまれていきました。

また、一人目のお子さんを妊娠したことがきっかけで、マクロビやビーガンの勉強を始めたそうです。

農薬や添加物が当たり前のように使われる現代で、子どものために食生活を変えていきたいという想いがどんどん強くなっていったのだとか。

そんなマインドが、Trueberryで扱う食品にも現れています。

移住してからは、私生活でも長野産の旬の食材を楽しんでいるそう。

ご近所の有機農家さんからのおすそわけで、冷蔵庫はいつもいっぱいです。

「東京にいたころは、なんでも手に入るぶん、旬を感じる機会があまりありませんでした。こちらに来てからは、とにかく旬の野菜をシンプルにおいしく食べることを楽しんでいます。お米やオイル、米粉やそば粉なども長野産のものを積極的に使っているんですよ」

 

食を通じて地域に貢献したい

Trueberryを立ち上げたのは、ふたりのお子さんが4歳と2歳だったとき。もっと仕事をしたいという気持ちが大きくなり、起業へと踏み切りました。もともと飲食のお仕事をされていた期間が長く、いつか自分のお店をつくろうと考えていた西村さん。

20代のころには沖縄でカフェを立ち上げた経験もありましたが、お子さんがまだちいさいなかでの起業は、覚悟していたとはいえとても大変だったとのこと。それでも、こだわってお店をつくった甲斐あって、オープンから現在までたくさんのお客さんに恵まれているそうです。

今後は、オンラインストアの展開を目指すとともに、将来はご自宅前の敷地でガーデンカフェを開きたいと思っていて、すでに不定期開催しているお料理教室にも、さらに力を入れていきたいと話してくださいました。

「せっかく、このすばらしい場所に住ませてもらっているので、地域の人に貢献したくて。広くて景色も良いし、ここですてきなカフェをできたらうれしいですね。ローフードは、まだあまりメジャーではないので、子どものためになるような食生活の知識を、地域のお母さんたちにも伝えられたらと思っています」

食を通じて地域との結びつきを深められたら、と西村さん。

良質な食を提案する立場として、よりよい食材を探求していた結果、ご自身がすばらしい暮らしを手に入れられました。ガーデンカフェのオープンが、今から楽しみです。

 

Trueberry(http://trueberry.jp/

〈聞き手:安井省人/文:笹沼杏佳〉