soramido 空と緑のくらし店

愛媛県上島町

東京から人口500人の島へ

たくさんの出会いが結んだ、“豊か”な暮らしへの一歩 1/4

2017年春、東京から愛媛県の佐島へ移住する鈴木彩美さん(左)と寺島由梨さん(右)。佐島は、瀬戸内海に位置する人口500人ほどの小さな島です。彼女たちが移住を決めたきっかけや、二人の出会い、そして今後のビジョンとは? 第一回目の今回は、鈴木さんが佐島に住むことを決めたときのエピソードについてお伝えします。

直感を素直に受け入れて、“住みたい”と思える場所へ

私が初めて瀬戸内の島々をおとずれたのは、5年ほど前。そのとき「なんて居心地がいいところなんだ」と感じたのを覚えています。初めての場所なのに、なんだか“帰ってきた”ような気がして……自分でもびっくりするくらい、瀬戸内の空気がしっくりきたんです。それから毎年おとずれるうち、移住したいと思うようになりました。でも、具体的にどの島で何をするかイメージできなくて、しばらくは“住みたい”という想いだけが漠然と膨らんでいたんです。

そんななか、佐島と出会ったのは2016年夏のこと。「住みたい島がそろそろ見つかるといいな」と、それまであまりおとずれていなかった“しまなみ海道エリア”に行ってみたくなりました。すると、人口500人ほどの小さな島『佐島』に、『汐見の家』という古民家ゲストハウスができたのを知ったんです。ホームページを見てみると、とてもすてきそうな場所でした。そこを拠点に周辺の島を巡ろうと思い、佐島へ向かいます。

いざ行ってみると、ゲストハウスの方たちとすぐに仲よくなり、気づけば私もスタッフ化(笑)。滞在中は一緒にご飯を作って掃除して、ほかのゲストさんを迎えて……結局島を巡るというよりも、島の人たちと過ごす時間がメインになっていました。みんなで畑に行ったり、近所のおじさんたちと海へカキを獲りに行ったりもして。そうやって過ごすうちに、佐島に住む自分の姿を自然と思い描けたんです。それで、朝の浜辺を散歩しているとき「ここに住もう」って決めました。

私が佐島に出会えたのは、きっとアンテナを張るようにしていたから。移住を考えながらも具体的なイメージができなかった頃、旅先でいろいろな人に話を聞いていたんです。そこで、あるゲストハウスのオーナーさんに言われたことが印象的でした。やりたいことをやるために大切なのは、「身軽なこと」「お金があること」、そして「アンテナを張ること」──その後は、いつか“ピンとくる”感覚をキャッチできるよう、できるだけアンテナを張るよう心がけていました。

そのおかげもあって、佐島に出会って「ここに住みたい」と素直に思えたし、やってみたいことや面白そうなことがどんどん浮かんできたんです。「ついにきた」っていう感覚で、これはもう乗るしかないと。一気に目の前が拓けたような感覚でした。

東京の雑多な雰囲気も好きだけど……土を触って、身の周りのものを自分で作りつつ暮らすほうが、自然なことだと感じていました。私は栃木県出身。小さい頃は石ころを蹴ったり、葉っぱを拾ったりしながら、のびのびと育ちました。そうやって生活できる環境を、潜在的に求めていたのもあるかもしれませんね。前職は日用品の販売に関わっていたので、ライフスタイルについて考える機会も多くて。あらゆる人・ものに触れるなかで、最近ようやく、自分好みの暮らし方が見えてきたところ。そのタイミングで佐島に出会えたから、「住みたい」という自分の直感を信じられたんだと思います。

※取材は2017年3月に行われました

okappa
2017年春に愛媛県の佐島に移住する二人組。メンバーは鈴木彩美さん(短めのおかっぱ)と寺島由梨さん(長めのおかっぱ)。
https://www.facebook.com/okappa.sashima

 

写真・文:笹沼 杏佳